
こんにちは、大阪の社会人ロックバンド「The Third Glow」スタッフです。
「ライブハウスに出演してみたいけど、どうすればいいのかわからない」
「初心者バンドでも出演できるのかな」
「何から始めたらいいんだろう」
そんなふうに思っている人、けっこう多いんじゃないでしょうか。
ライブハウスでの演奏って、なんとなく“上級者の世界”みたいに見えることがあります。でも実際は、結成したばかりのバンドや、初ライブのバンドも普通に出演していますし、出演するまでの流れも「知ってしまえば意外とシンプル」です。
この記事では、初めてライブハウスに出演しようと考えているバンドに向けて、出演の方法・基本の流れ・探し方を、できるだけ具体的に整理します。「これを読んだら完璧!」というより、「なるほど、こう動けばいいんだな」と全体像がつかめる記事にしていきます。
まず、ライブハウスに「出演する」とはどういうことなのか、基本的なところから整理してみます。
ライブハウスは、バンドやアーティストが演奏するための場所です。ステージがあって、音響機材があって、お客さんが音楽を楽しむための空間が整っています。
学祭やスタジオライブとは違って、ライブハウスは「音楽を聴くために来る人たち」が集まる場所です。照明や音響も整っていて、より“ライブらしい空気”を体験できます。「自分たちがステージに立つ」という感覚がいちばんわかりやすく掴めるのも、ライブハウスかもしれません。
ただ、「ライブハウスに出演する=プロ」というわけではありません。学生バンドも、社会人バンドも、趣味でやっているバンドも、たくさん出演しています。初心者バンドが出演することも、全然珍しくないです。
そして、ライブハウス出演には、基本的に「チケットノルマ」や「出演料」が関わってきます。出演するバンドが一定枚数のチケットを預かって販売したり、事前に出演料を支払ったりする形が多いです。これは、ライブハウスの運営費や人件費(PA・照明・スタッフ)をまかなうための仕組みで、ほとんどのライブハウスで採用されています。
ここは最初に気になるところだと思うので、イメージだけでも押さえておきます。
出演する際は、他のバンドと一緒に「対バン形式」で出ることが多いです。1日に3〜5組くらいのバンドが出演して、それぞれ持ち時間(20〜30分くらい)の中で演奏します。
こうした基本の仕組みを知っておくと、「ライブハウス出演ってこういうものなんだ」っていうイメージがつかみやすくなると思います。ここが分かるだけで、初出演のハードルはだいぶ下がります。
ライブハウスに出演する方法は、いくつかあります。初心者バンドでも挑戦しやすい方法から順に紹介していきます。どれが正解というより、「今の自分たちに合う入口」を選ぶのが大事です。
初めての出演なら、これが一番ハードルが低いかもしれません。
ライブハウスやスタジオが主催する「初心者向けイベント」「コピーバンドイベント」などは、初めて出演するバンドを対象にしていることが多いです。募集要項にも「初心者歓迎」と書かれていることが多く、同じような立場のバンドが集まるので、出演しやすい雰囲気があります。
特に「コピー企画」は、オリジナル曲がなくても出演できるので、結成したばかりのバンドや、初ライブのバンドにとっても参加しやすいです。「まずは一度、人前で演奏する経験をする」という意味でも、かなり良い入口になります。
こうしたイベントは、ライブハウスの公式サイトやSNS、スタジオの掲示板などで募集されていることが多いので、定期的にチェックしてみるといいかもしれません。
ブッキングライブは、ライブハウスがいくつかのバンドを集めて開催するライブのことです。ライブハウス側が「この日はこういうイベントをやります」と企画を立てて、それに合うバンドを集める形です。
ブッキングライブに出演するには、ライブハウスに直接連絡して「出演したい」と伝えたり、募集に応募したりする方法があります。
初めてのバンドでも、音源や活動状況を伝えれば、出演できる可能性はあります。ライブハウスによっては、初心者バンド向けの枠を設けていることもあります。ここで大事なのは、「上手いかどうか」よりも「ちゃんと準備できるか」「連絡が丁寧か」「当日ちゃんと動けるか」みたいな、運営側が安心できる要素だったりします。
ライブハウスには、出演バンドを調整する「ブッキングマネージャー」がいることが多いです。この人とつながると、今後の出演相談がしやすくなります。
ブッキングマネージャーと知り合うには、まずライブハウスに足を運んでみるのが一つの方法です。他のバンドのライブを観に行って、終演後に「初めて出演したいと思っているんですが」と声をかけてみると、話を聞いてもらえることもあります。
このときのコツは、いきなり長話にしないことです。挨拶+短い相談だけして、「よかったら一度、連絡してもいいですか?」くらいで止めると、相手も対応しやすいです。後日、音源やバンド情報をまとめて送る方がスムーズです。
SNSでライブハウスの公式アカウントにDMを送る、という方法もあります。「初めてですが、出演させていただけませんか」といった内容で、音源やバンド情報を添えて連絡してみるといいかもしれません。
すでにライブハウスに出演している知り合いのバンドがいれば、「一緒に出演させてもらえませんか」と声をかけてみるのも一つの方法です。
対バンとして誘ってもらえると、初めてでも安心感がありますし、当日の流れも教えてもらいやすいです。「集合時間ってどんな感じ?」「機材の転換って何するの?」みたいな、ネットでは拾いづらい“現場のノリ”を、実際に聞けるのが大きいです。
知り合いのバンドがいない場合でも、スタジオで練習しているときに他のバンドと仲良くなって、そこから話が広がることもあります。スタジオは案外、バンド同士の接点が生まれやすい場所です。
ライブハウスの公式サイトやSNSから、直接「出演したい」と連絡を入れる方法もあります。
その際は、バンド名、メンバー構成、ジャンル感、音源(あれば)、活動状況などを簡単に伝えると、相手も判断しやすくなります。「初めてのライブハウス出演を考えています」と正直に伝えても大丈夫です。
連絡の文面は、難しく考えなくてOKですが、最低限の情報はあると親切です。例えば、こんな項目があると会話が速いです。
ライブハウスによっては、初心者向けの枠や、出演しやすい日程を案内してくれることもあります。やり取りの中で「最初はコピーイベントどう?」みたいに提案してもらえることもあります。
実際に出演できるライブを探すには、いくつかの方法があります。ここは「情報の集め方」を押さえておくだけで、チャンスの数が増えます。
ライブハウスの公式サイトやSNS(X、Instagramなど)には、出演者募集の情報が掲載されていることが多いです。
「出演者募集」というページや投稿をチェックしてみると、どんなイベントで募集しているのか、どういう条件なのかがわかります。特にSNSは“募集が一瞬で流れる”こともあるので、気になるハウスがあるならフォローしておくのがおすすめです。
また、ライブハウスの「スケジュール」を見て、どんなイベントが組まれているか眺めるだけでも参考になります。自分たちが出たい雰囲気(コピー企画/若手中心/社会人多め等)の日を見つけやすくなります。
練習スタジオにも、ライブ出演者募集のチラシやポスターが貼られていることがあります。スタジオによっては、自社でライブイベントを主催していることもあるので、受付で聞いてみるのもいいかもしれません。
スタジオのSNSでも、関連するライブハウスのイベント情報がシェアされていることがあります。「スタジオ主催のイベント」は、初出演の入口としてかなり相性が良いことが多いです。
すでに書いたように、知り合いのバンドから「一緒に出ませんか」と誘ってもらえることもあります。
SNSで他のバンドと交流していると、「出演者募集してます」という投稿を見かけることもあるので、積極的にフォローしたり、コメントしたりしていると、つながりができやすくなるかもしれません。
「知り合いがいない」と感じる人ほど、まずはライブを観に行って、挨拶できる関係を作るのが近道だったりします。いきなり深い関係じゃなくても、「また会いましたね」くらいから始まることも多いです。
出演者募集を見つけたら、「まだ早いかな」「自分たちのレベルで大丈夫かな」と不安になることもあると思います。
でも、募集されているなら、応募してみる価値はあります。ライブハウス側も、初心者バンドを想定して募集していることが多いですし、応募してみないと、出演できるかどうかはわかりません。
「とりあえず応募してみる」っていう行動が、最初の一歩になることも多いです。実際、応募してみたら「じゃあこの日どう?」と話が早いこともありますし、仮に今回は合わなくても「別のイベントなら出やすいよ」と案内してもらえるケースもあります。
初めてライブハウスに出演するとき、不安になるのは当然のことです。でも、その不安の多くは、「失敗するかも」というよりも、「当日の動きがイメージできない」ことから来ているんじゃないかと思います。
ここでは、初出演の現場で“本当に起きがち”な不安を、なるべくアクションに紐づけて挙げてみます。ここを具体的に押さえるほど、次に深掘り記事(例:リハの進め方、持ち物チェック等)にも繋げやすくなります。
「何時に行けばいいの?」「どこに集合すればいいの?」「受付って何をするの?」
初ライブでいちばん多いのは、ここだと思います。
基本的には、ライブハウスから事前に「当日の案内」や「タイムテーブル」が送られてきます。集合時間、搬入のタイミング、リハの時間、本番の出演順などが書かれているので、それを確認しておけば大丈夫です。
ただ、案内を読んでもイメージしにくい場合は、事前に確認してOKです。特に聞いておくと安心なのは、例えばこんな項目です。
「初めてなので教えてください」と言えば、丁寧に教えてもらえることがほとんどです。聞くのは失礼じゃなくて、むしろ“事故防止”です。
リハーサルは、本番前に音のバランスを確認する時間です。各パートの音量を調整したり、モニターから聞こえる音を確認したりします。
PAさん(音響スタッフ)が指示を出してくれるので、基本的にはその指示に従えば大丈夫です。「ギター、音出してください」「ドラム、叩いてください」「歌ってください」と言われたら、その通りに音を出す。それだけです。
ただ、初めてだと「どの順番で何をするの?」が不安になりやすいので、ざっくりの流れだけ書いておきます。
ここで大事なのは「完璧な言い方」じゃなく、「困っていることを素直に言う」ことです。分からないことがあれば、「初めてなので、今の流れだけ教えてもらえますか?」と聞いて大丈夫です。
PAさんとの会話は、専門用語を使う必要はありません。
基本的には、「自分が何を聴きたいか」「何が聴こえていないか」を伝えるだけです。
例としては、こんな言い方で十分です。
“できればこうしたい”が言えなくても、最低限「聴こえない」だけ言えれば、PAさんは調整してくれます。初ライブほど、ここは遠慮せず言ってOKです。
「何を持っていけばいいの?」も、不安になるポイントですよね。
基本的には、自分の楽器、シールド、エフェクター、スティックなど、普段練習で使っているものを持っていけば大丈夫です。
ライブハウスには、ドラムセット、ギターアンプ、ベースアンプ、マイク、DIなどは備え付けてあることがほとんどです。ただし「何が常設か」「持ち込み可能か」は会場ごとに違うので、事前確認が安全です。
初出演の持ち物で“抜けがち”なのは、例えばこんなものです。
「常設機材のリスト(機材表)」をもらえる場合もあるので、もらえるなら早めにもらうのがおすすめです。もらえない場合は「アンプのメーカー」「マイクの本数」「ドラムのメーカー」などを聞くだけでも、安心度が上がります。
「本番は何時から?」「リハは何分?」「持ち時間はどのくらい?」
タイムテーブルの感覚がわからないと、当日の動きがイメージしにくいですよね。
これも、事前に送られてくるタイムテーブルを見れば、だいたいわかります。出演順、リハの時間、本番の時間などが書かれているので、それを確認しておけば安心です。
持ち時間は、だいたい20〜30分くらいのことが多いです。曲数で言うと、4〜6曲くらいが目安になります。
そして初ライブほど意識したいのは、「転換(入れ替え)」です。自分たちの前後のバンドもいるので、撤収まで含めてスムーズに動く必要があります。最初は完璧でなくてOKですが、「誰が何を片付けるか」「次のバンドの邪魔にならないか」だけでも、ざっくり決めておくと落ち着きます。
「わからないことがあるけど、誰に聞けばいいの?」っていうのも、不安の一つですよね。
基本的には、受付のスタッフ、ブッキング担当、PAさんに聞けば大丈夫です。迷ったら受付で「初めてで、誰に相談したらいいですか?」と聞けば繋いでくれます。
ライブハウスのスタッフは、初心者バンドの対応にも慣れているので、遠慮せずに聞いてみてください。
こうした不安のほとんどは、「知らないこと」から来ています。でも、一度経験すると、「ああ、こういう感じなんだ」って一気に解像度が上がります。
二回目以降は、だいぶ落ち着いて動けるようになるはずです。初ライブは“本番”でありつつ、“現場を覚える回”でもあります。
ライブハウス出演に向けて、最初の一歩として、こんな行動をおすすめしたいです。ここは「今日からできる行動」に落とすと、急に現実味が出ます。
「ちゃんと演奏できるようになってから」「もっと曲数が増えてから」と思って、出演を先延ばしにしてしまうことがあるかもしれません。
でも、完璧を目指す必要はないんです。初めてのライブは、うまくいかないことがあって当然です。むしろ、「初めてだから、うまくいかなくても仕方ない」くらいの気持ちで挑戦してみる方が、気楽に臨めるかもしれません。
初ライブで得られるものは、演奏技術だけじゃなくて、「現場の流れ」「音の鳴り方」「PAとのやりとり」「転換の感覚」みたいな、経験値そのものです。これはスタジオ練習だけではなかなか身につきません。
最初の出演先として、コピー企画や初心者向けイベントはおすすめです。
同じような立場のバンドが集まるので、「自分たちだけが初心者」という感覚にならずに済みますし、お互いに励まし合える雰囲気があることも多いです。
コピー企画なら、オリジナル曲がなくても出演できるので、ハードルも低いです。「曲ができてから…」と止まってしまうより、まずはコピーでもライブを経験してみる方が、結果的に早く前に進むことがあります。
とにかく、1本出てみることが大事です。
1本出演すると、ライブハウスの雰囲気、当日の流れ、リハーサルのやり方、PAさんとのやりとり、転換の動きなど、いろんなことが一気にわかります。
「次はこうしよう」「ここを改善しよう」というのも、1本出てみて初めて見えてきます。逆に言えば、出ない限りは“ずっと想像のまま”になりやすいです。
最初の1本は、学びの場だと思って、気楽に挑戦してみてください。
出演する前に、まずはお客さんとしてライブハウスに行ってみるのもおすすめです。
他のバンドのライブを観に行って、ライブハウスの雰囲気、ステージの感じ、お客さんとの距離感、転換のスピード感などを体感してみる。それだけでも、「ああ、こういう場所なんだ」っていうイメージがつかめます。
できれば、終演後に受付やスタッフに「初めて出演を考えていて…」と軽く声をかけるのもアリです。いきなり話を詰める必要はなくて、まずは顔を覚えてもらうだけでも十分です。少しずつ、出演への道が現実になっていきます。
ライブハウスに出演することは、特別な人だけのものではありません。初心者バンドも、学生バンドも、社会人バンドも、たくさん出演しています。
出演する方法はいくつかあって、初心者向けのイベントやコピー企画なら、比較的ハードルも低いです。募集情報を見つけたら、まずは応募してみる。その行動が、最初の一歩になります。
初めては不安になるのが普通です。でも、その不安の多くは「知らないこと」から来ています。当日の流れ、リハのやり方、PAとの会話、持ち物、タイムテーブル…このあたりは、1回経験すると一気に解像度が上がります。
完璧を目指す必要はありません。まずは1本、出演してみる。その経験が、次の景色を見せてくれるはずです。
「ライブハウスに出演してみたいな」と思ったら、その気持ちを大切にしてください。調べて、応募して、挑戦してみる。その一歩が、バンド活動の新しいステージにつながっていくと思います。
The Third Glow スタッフ
大阪を拠点に活動する、社会人ロックバンド The Third Glow のスタッフです。
社会人になっても音楽を続けたい方や、バンド初心者の方に向けて、スタッフ目線でコラムを発信しています。
▶楽曲の配信やSNSはこちら
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